「プロジェクトマネージャ試験」はプロジェクトを確実に成功に導くマネージャのための試験です。
日々、ITシステムやITサービスのプロジェクト管理・推進を行っている人向けではありますが、経験が無い人でも学習することで勿論合格はできます。
そして、より効率的に学習することで「初チャレンジ、短期間」で合格することも可能です。
今回は私がプロジェクトマネージャ試験に合格した経験をもとに、合格するための学習のための3つのポイントを解説します!
私の試験結果
まず、私は平成31年度春期(平成最後)のプロジェクトマネージャ試験(PM試験)に初チャレンジで無事合格することができました。
結果は次の通りです。
プロジェクトマネージャ試験結果
午前Ⅰ:免除、午前Ⅱ:76点、午後Ⅰ:61点、午後Ⅱ:A
午後Ⅰがギリギリでした...(汗)
でも、初チャレンジで一発合格だったので、それはポジティブに良かったと捉えてます。
独学且つ論述系は初チャレンジだったので、ポイントがよく分からない状況の中、試行錯誤しながら学習をしてきましたが、合格してみて自分が実践した学習方法を改めて振り返ってみました。
プロジェクトマネージャ試験に向けて、どうやって自分が学習したかのポイントを「合格するための3つのポイント」として整理してみました。
短期間で試験合格を目指す方はご参考にして頂ければと思います。
スケジュールをしっかり立てる
3つのポイントの解説の前に、先ずは計画的なスケジュールを立てましょう。
どんな試験でも同じですが、キチンとしたスケジュール感を持つことが大事です。
有名な資格の学校のサイトを見ると「高度試験区分 100~200時間」とありますが、数字だけ見ると結構大変に思えちゃいますよね。
しかし、プロジェクトマネージャ試験は他の高度情報処理試験に比べて、短期集中型での学習が可能だと思います。
後述しますが、午後Ⅰの過去問1年分を解いて、答え合わせをして、解答案を理解するのに、2時間くらいは掛かります。これを10年分やるとすると、20時間掛かります。そして、これを2周やると計40時間掛かる計算になります(2回目はもう少し短時間でできるかもしれませんが)。
次に午後Ⅱの論述練習ですが、論述1回分を試験時間と同じく、2時間掛けるとして、これも5問くらい解くとすると計10時間掛かります。論述も解答案(サンプル)を見ながらより良い構成にする作業に時間がかかるので、1問あたり1時間として、計5時間掛かります。午後Ⅱ対策として、計15時間掛かるかと思います。
午前Ⅱ対策ですが、これも10年分くらいの過去問を2周やれば良いので、1年分が30分程度掛かるとして、計10時間くらいで良いと思います。
最後に参考書を一通り読み込む時間として計5時間くらい必要かと思います。
とすると、合計で「40+15+10+5=70時間」必要となります。
この70時間は正味なので、日々の生活の中で、この試験時間をどう捻出するかが重要になってきますね!
1日2時間の場合は2ヶ月必要になります。
土日を上手く使えば、1ヶ月で達成できると思います。
自分の状況(スキルや学習に割り当てられる時間など)を把握し、試験日に向けてのスケジュールを立てましょう。
それと、スケジュールを立てるために、先ずは一度、過去問1年分をやってみて、自分の実力を測ってみるのをおススメします。
そして、あまりロングスパンで考えず、短期集中で頭の中を「プロジェクトマネージャ脳」に仕立てていくのもアリかと思います!
ポイントその① ~試験の範囲と特徴を抑える
先ずは、「プロジェクトマネージャとは何か?」をざっくり理解することから始めましょう。
プロジェクトマネージャは「ITプロジェクトの成功請負人」という役割がIPAで定義されています。
つまり、「ITシステム構築やITサービス導入のためのプロジェクト」を確実に成功させるマネージャの感じですね。
プロジェクトマネージャ試験の出題範囲は「マネジメント系」と開発技術やセキュリティなどの「テクノロジ系」が多く、加えてシステム戦略も範囲に入ってきます。
その中で重要キーワードとしては、以下の3つを上げておきます。
キーワード
- PMBOK(ピンボック) : プロジェクトマネジメントに関するノウハウや手法を体系立ててまとめたもの
- 管理・推進 : リスク、進捗、予算、品質などのあらゆる要素でのマネジメントが必要
- ステークホルダ調整 : プロジェクト管理においてステークホルダ(関係者)との調整は重要
システム構築のプロジェクト推進や管理を主な業務としてやられている方は勿論のこと、担当業務がシステムエンジニアやITサービスマネジメントの方もプロジェクトに絡んでいることが多いので、プロジェクトマネージャの内容をある程度は分かっていると思います。
一方、プロジェクト管理の経験が無い方はプロジェクトマネージャの参考書にある午後Ⅱの論述例を沢山読んで、先ずは業務の流れを理解していくのがおススメです。
ポイントその①まとめ
- 試験の範囲は「マネジメント系」と「開発技術やセキュリティなどのテクノロジ系」を抑えましょう。
- キーワードは「PMBOK(ピンボック)」、「管理・推進」、「ステークホルダ調整」。
- ITシステムやITサービスを導入するためのプロジェクトの流れを午後Ⅱの論述例を読んで把握しましょう。
ポイントその② ~過去問を沢山解いて、出題者の意図を汲み取る
このポイントは午後Ⅰの対策になるかと思いますが、過去問を沢山解きましょう!
最初は解答が全く違うことがあるかと思いますが、参考書等を使って解答をしっかり理解することが重要です。特に間違った部分の理解をしっかり行いましょう。
解答をしっかり理解しないと、同じ問題を解いた時にまた同じ間違いをしてしまうことがあるので、自分の頭の中をきちんと塗り替える必要があるのです。
繰り返しになりますが、次回同じ間違いをしないためにも、しっかり解答案を理解をしていきましょう。
何度も過去問を解いていく段々と出題者の意図が読めてきます。そうなると、「午後Ⅰ問題の解答って意外とシンプル?」ということに気付くと思います。そうなんです!実は結構シンプルなんです。
午後Ⅰ問題は問題文の中に解答が記載されている「導出型」と自分の知っている知識から解答をする「知識型」の二つがありますが、両方とも深く考え過ぎずに、シンプルな解答で良いのです。
例えば問題文に「どんなリスクを回避するためか?」みたいな内容だった場合に「手戻りが発生する」、「管理工数が増える」、「品質が低下する」といったシンプルな解答になることも多いです。
出題者の意図を汲み取り、プロジェクトマネージャとして思考や対策方法を身に付けることが重要ですね。
ポイントその②まとめ
- 午後Ⅰ問題の解答案をしっかりと理解する
- 出題者の意図を汲み取り、プロジェクトマネージャになりきる
ポイントその③ ~論述はコアな部分をしっかり作る
論述のテーマは「リスク兆候」、「ステークホルダ」、「品質管理」、「工数管理」、「成果物の活用」など様々あります。
午後Ⅱ問題は最近は毎回2問でますが、2問とも全く新規のテーマということは無いと思います。
そして、過去出題されたテーマも10テーマくらいに集約できるかと思います。プロジェクトマネージャとして必要な管理ポイントもそれくらいに集約できるのでしょうね。
過去問と参考書を使って、テーマの論述練習を行なっていきます。この練習は長時間頭と手を使うので、結構シンドイのですが、いくつかの論述を行なっていくと、段々自分の論述においてコア(核)となる部分が出来上がってきます。
何を言っているのだ!?と思うかもしれませんが、自分のプロジェクトマネージメントの経験(経験が無い方はサンプル論文を参考に経験したつもりになる)の中での管理方法や課題対策の常套手段(必殺技)のようなものがあることに気付くと思います。
例えば、「ステークホルダの信頼を得るためにコミュニケーションは欠かさない」、「プロトタイプを積極的に活用して認識ズレを防ぐ」、「テスト結果と分析、問題の対策案を日々確認する」など、人によって様々な手法があると思います。この手法を確立することです。
この常套手段、つまりコアな部分ができると、どんなテーマにでもある程度同じ手法を使って論述することができるようになります。
論述練習をする中で自分のプロジェクトマネージメントのコアな部分をしっかり作っていきましょう!
因みに、論述は独学でやると、自分の論述方法が良いのか悪いのか分からないので、有料にはなりますが、添削サービスや講座を使ってみるのも良いかもしれませんね。
また、忘れてはならないことですが、午前の過去問を直近10年間分くらい解いて、正解の解答も全て覚えてみましょう。過去問からの出題は結構ありますので、その対策となります。
午前問題を甘くみて、もしも60点取れないとなると、せっかく努力が無駄になりますので、過去問をいっぱい解いて、確実に得点できるようにしておきましょう。
ポイントその③まとめ
- プロジェクトマネージャになりきって、午後Ⅱの論述を自分で書いてみましょう。
- 2時間で論述を書き終える経験を何回かしておきましょう。
- 仕上げとして午前Ⅱの過去問の解答を全部覚える気持ちで解きましょう。
おススメの参考書
今回、私が試験のために利用した参考書は2つです。
プロジェクトマネージャ試験の参考書は色々出版されていて、どれも参考になるものですが、情報量が多過ぎると逆に頭の中が混乱してしまう恐れがあったので、次の二つを上手に使い分けました。
熟読する一冊!
やはり、この本は外せませんね。恐らく受験者のほとんどの方が持っていらっしゃると思います。「情報処理教科書 うかる!プロジェクトマネージャ」ですね。
この本の良いところは「序章」に「合格するためにやるべき事」が100ページ以上もあり、特に論文と午後Ⅰの対策方法が詳しく記載されています。合格体験記もあって、読むとモチベーションの向上に繋がります。
章毎にテーマ(リスク、予算、品質など)が分かれており、それぞれ午前Ⅱ、午後Ⅰ、午後Ⅱの対策が書かれてます。ここでもポイントがあって、それは午後Ⅱの対策から始めて、午後Ⅰ、午前Ⅱと順番に対策していくことです。やはり、論述問題を解くことで、午後Ⅰの出題者の意図が汲めるようになる、この辺の流れは他の参考書には無いメリットですね。
この参考書は何回か読み込むことをおススメします!
午後Ⅰを解くロジックと午後Ⅱのサンプルが役に立つ!
もう1冊は「ALL IN ONE パーフェクトマスター プロジェクトマネージャ」です。
私がこれを選んだ理由は、午後Ⅰの解き方(ロジック)が非常に分かり易く説明されていて、問題文のどこに着眼点を置いて、どの流れで回答を導き出したら良いか、この辺のテクニックを身に付けることができそうだったからです。
また、午後Ⅱの論述のサンプルが良くできていて、自分の論述作成の参考になりました。
この本は熟読するというよりは、ポイントポイントで参考にする使い方をしました。
その他に午後Ⅱの論述対策をより確実に実施したい方は次の参考書も役に立つかと思います。
それぞれの参考書の良いところを使って、力を付けていくことが大事だと思います!
まとめ
今回はプロジェクトマネージャ試験に合格するためのポイントに関してまとめてみました。
独学で学習して何とか一発合格できましたが、ひたすら参考書を読み込むのでは無く、ポイントを絞って効率よく学習していくことが大事ですね。
また、「理想のプロジェクトマネージャを頭の中に描き」自信を持って試験に臨むと良いのかなと思いました(精神論みたいですが...)。
本記事の内容が皆さまの学習に少しでもお役に立てれば幸いです。
以上です!