PCやスマホで無線LANのアクセスポイントに繋ぐときや無線LANルータを購入する時に「IEEE802.11n」や「IEEE802.11ac」なんて言葉が出てきます。何となく、「規格なんだろうなー」って感じはします。でも、意外とこんがらがっちゃうものですよねー。
今回はこのIEEE802.11で登場する規格の種類を解説します!
IEEE802.11と無線LANの関係は?
IEEE802.11と無線LANという言葉、この二つの関係性を何なのでしょうか?という点から解説します。
IEEE802.11の由来は?
まず、「IEEE802.11」ですが、読み方は「アイトリプルイー(IEEE)、エイトオーツー(802)、ドット(.)、イレブン(11)」(はちまる、てん、いちいち と読むこともあるようです)となります。
IEEEはWikipediaには「 アメリカ合衆国に本部を置き,人類社会の有益な技術革新に貢献する世界最大の専門職団体、もしくは同機関が認定した規格の通称を指す。 」と記載されています。
この専門職団体で認定された規格は「IEEE」が付き、その中でローカル・エリア・ネットワーク(LAN)などの規格を定めている委員会が1980年2月に活動が開始されたことにちなんで、802委員会と呼ばれるようになりました。
そして、802委員会の中で更に標準的な規格毎に独立して委員会が存在し、「11」がWireless LAN、つまり無線LANの規格を決める委員会となっています。
他のIEEE802は?
IEEE802.3は有線ネットワークの基本となる「イーサネット(CSMA/CD)」の規格を標準化していますし、IEEE802.15は半径10m~20m以内のパーソナルエリアをターゲットにした無線PAN(Personal Area Network)の標準化をしています。Bluetooth(ブルートゥース)は「IEEE802.15.1」で最近のIoTの センサーネットワーク で使われているZigBee(ジグビー)は「IEEE802.15.4」で規格化されています。
IEEE802.1Xとは?
IEEE802.1Xは「LAN接続時に使用する認証規格 」となります。EAPやサプリカントやオーセンティケータ、RADIUSなどの言葉が関係していますが、詳しくは以下をご参照ください。
IEEE802.1Qとは?
複数のスイッチをを跨いでフレームを転送する際にトランクリンク上で、VLANを識別するための識別情報を付加するプロトコル(規格)となります。
VLANに関する規格と捉えて頂ければ良いと思います。
IEEE802.11シリーズを調べよう!
IEEE802.11のことが分かったところで、伝送規格の11シリーズを細かく見ていきましょう!
世代 | 規格 | 策定年 | 周波数帯 | チャネル幅 | ストリーム数 | 伝送速度 |
---|---|---|---|---|---|---|
802.11a | 1999年 | 2.4GHz | 22MHz | 1 | 11Mbps | |
802.11b | 1999年 | 5GHz | 20MHz | 1 | 54Mbps | |
WiFi 3 | 802.11g | 2003年 | 2.4GHz | 20MHz | 1 | 54Mbps |
WiFi 4 | 802.11n | 2009年 | 2.4GHz 5GHz | 40MHz (ボンディング時) | 1~4 | 600Mbps |
WiFi 5 | 802.11ac | 2014年 | 5GHz | 160MHz (ボンディング時) | 1~8 | 6.93Gbps |
WiFi 6 | 802.11ax | 2019年 | 2.4GHz 5GHz 6GHz | 160MHz | 1~8 | 9.6Gbps |
規格の検討は11aからスタートして、「abcde…」の流れになりますが、途中で他の規格に吸収されたり、伝送規格以外(例えばセキュリティや応用技術など)の規格に対しても採番されるので、伝送規格として知られている英文字は飛び飛びになっているのですね。
11aと11bは同時期に策定されていますが、製品化は11bの方が早いので、世の中的に無線LANが広まった時の伝送規格は「11b」のようです。
IEEE802.11iとは?
「IEEE802.11i」は 無線LANにおけるセキュリティの標準 に関して策定したものです。 認証にはIEEE802.1Xを使用し、暗号化アルゴリズムとしてはTKIP(WPA)またはAES-CCMP(WPA2)が利用されます。
MIMOとチャネルボンディング
IEEE802.11nはMIMO(Multiple Input Multiple Output)とチャネルボンディングを使うことで、高速伝送を実現しています。
MIMOとは?
複数のアンテナを用いて同時に複数のストリームを通信することで高速化を実現する技術です。このストリーム数が多ければそれだけ、高速になります。
IEEE802.11nではMIMOの空間ストリーム数の最大値が4個となります。
MIMOはストリームの数分、アンテナが必要となるため、速度を上げる分小型化をするのは難しかったりしますね。
チャネルボンディングとは?
隣り合う二つのチャネル(帯域)を束ねることで送信データ量を2倍以上に増やす技術です。
IEEE802.11nではチャネルボンディングで束ねることのできるチャネル数の最大値は2個です。
MIMOとチャネルボンディングのチャネル数の組み合わせで通信速度がきまります。
まとめ
今回は無線LAN規格のIEEE802.11シリーズの種類と特徴を解説してきました。
無線LAN規格も歴史があって、MIMOやチャネルボンディングなど様々な技術を使い、更にセキュリティ技術も組み合わせることで、高速且つ安全な無線通信を実現しているのですね。
始めは11Mbpsだったものが今は6.93Gbps(実に数百倍!)まで高速化されていることに驚きですね。
いろいろな種類がありますので、帯域や速度、ストリーム数など間違えて覚えないよう気を付けましょう。
以上です!
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