2023年6月にIPAの情報処理技術者試験の「ITサービスマネージャ試験」に合格し、2023年時点のIPAの全13区分の試験すべてを制覇しました。
これまでの道のりやノウハウを発信することで、これから受験される方の何かの役に立つかもと思い、今回はその辺を記事にして紹介します!
私の戦歴
IPA受験のきっかけ
先ず私がIPAの試験に挑もうとしたきっかけは、6年前に息子がとある試験を受けることになり、私も一緒に何かの試験を受けようという気持ちになったことです。
また、社内のIT部門でシステム開発やインフラ構築、運用保守を長年やっていたのですが、情報処理技術者試験は一度も受けて来なかったので、今更ではありましたが、経験によって自分のIT力がどの程度あるのかを測ってみたかったことも、きっかけの一つでした。
最初は軽めの気持ちだったのですが、これが、長い道のりの始まりでした(笑)。
全て一発合格!
ここはちょっと誇れる部分ですが、実は全ての試験を全て一発で合格できてます。
特に高度試験の9区分は半年ごとの試験で受験して、ギリギリの奇跡の点数もありましたが、何とか一発合格してます。
合格の道のり
- 2016年11月:ITパスポート試験(IP)
- 2017年05月:基本情報技術者試験(FE)
- 2018年04月:応用情報技術者試験(AP)
- 2018年12月:情報処理安全確保支援士試験(SC)
- 2019年06月:プロジェクトマネージャ試験(PM)
- 2019年12月:ネットワークスペシャリスト試験(NW)
- 2020年01月:情報セキュリティマネジメント試験(SG)
- 2020年12月:データベーススペシャリスト試験(DB)(※コロナによって春試験は開催されず)
- 2021年06月:システムアーキテクト試験(SA)
- 2021年12月:システム監査技術者試験(AU)
- 2022年06月:ITストラテジスト試験(ST)
- 2022年12月:エンベデッドシステムスペシャリスト試験(ES)
- 2023年06月:ITサービスマネージャ試験(SM)
最後から1つ前のエンベデッドシステムスペシャリスト試験は本当に自信が無く、半年でどうにかなるものかなと思いましたが、何とか試験までに対策ができて、合格できました。(汗)
ということで、一応IPAの試験を一発で全制覇しましたが、自分なりにもノウハウが溜まりましたので、各試験区分の分析とおススメ度をご紹介します。
因みに、ただ資格が取りたかった訳ではなく、全て業務にも役立つと思い、純粋な気持ちで全ての試験に取り組んできました。(資格マニアではございません!)
全制覇に向けて、試験区分の分析とおススメ度合い
では、それぞれの試験の私なりの分析とおススメ度合いを順番に解説します。
おススメ度と難易度は5段階評価です。
あくまでも個人的な感想で、業務の内容や立場によって必要性や難易度は全然違うと思いますので、そこはご理解ください。
ITパスポート(レベル1)
ITに初めて触れる方は最初に取った方が良い試験です。
- おススメ度:★★★☆☆
- 難易度:★☆☆☆☆
- メリット:IT知っている人になれる
情報セキュリティマネジメント(レベル1)
セキュリティのリスクと対策を運用できる人向け。セキュリティ用語も少し必要です。
- おススメ度:★★☆☆☆
- 難易度:★☆☆☆☆
- メリット:セキュリティ関係に詳しい人になれる
基本情報技術者(レベル2)
全てのITはここから始まると言って良いと思います。
ITの業務に従事したい人はまずここが登竜門だと思って取得しましょう。
ITに慣れていないと実は難しく、範囲も広いので、学習時間を結構取られます。
午後のアルゴリズムとプログラミングが肝ですね。
- おススメ度:★★★★★
- 難易度:★★★★☆
- メリット:組織のIT部門のSEやPMとして働ける知識が身に付く。対外的にも資格取得を堂々と言える。
応用情報技術者(レベル3)
基本情報技術者を取ったら、次のステップとしては応用情報技術者でしょう。
応用情報技術者からは文章問題が多くなっていくので、用語を覚えるだけでなく、読解力が重要になってきますね。
基本情報取らずに応用情報から取得する人もいますが、私としては基本情報も取った方が実力が確実に身に付くと思います。
- おススメ度:★★★★★
- 難易度:★★★☆☆
- メリット:組織のIT部門で幅広く活躍できる。基本情報と同じく対外的にも資格取得を堂々と言え、転職の時にも役立つ。
ITストラテジスト(レベル4)
ITを活用するために企画や戦略を行う人向けです。
情報処理技術者試験で最高峰と言われているが、最新のIT技術を知っていて、論述に慣れていれば、それほどハードルは高くないですね。
- おススメ度:★★★☆☆
- 難易度:★★★☆☆
- メリット:持っていると何となくカッコよく、周りから「おー、すごい」と取りあえず言われる。
システムアーキテクト(レベル4)
システム開発において最適な設計は何か、システム方式は何か、などシステムデザインをする必要があるので、幅広いIT知識が必要です。
要件定義工程や設計工程などの上流工程を経験していると午後Ⅰや午後Ⅱが簡単になります。
- おススメ度:★★☆☆☆
- 難易度:★★★☆☆
- メリット:プロジェクトマネージャと併せて持っているとシステム開発のプロっぽくなれる。
プロジェクトマネージャ(レベル4)
IT業界に携わるなら目指すべき資格の一つですね。
システム開発プロジェクトにおける管理者なので、システム開発工程全般の知識や推進力が必要です。
ステークホルダ調整のためのコミュニケーション力も必要で、誰かのためにどこまで尽くせるか、が重要です。
個人的にもおススメな資格です。
- おススメ度:★★★★★
- 難易度:★★★★☆
- メリット:資格の学習をする中で、システム開発に必要な力が身に付くので、実務に繋がり易い。対外的にも持っていると評価が高い。
ネットワークスペシャリスト(レベル4)
言わずもがな、ネットワーク設計・構築のスペシャリストですね。
ネットワーク機器の設定ではなく、設計や構築、運用・管理の知識や経験が必要とされます。
最近はセキュリティ関係も絡めた問題が多いので、その辺の知識も必要ですね。
午後Ⅱが記述式なので、問題内容を勘違いすると一気に点数がマイナスになる恐れがあります。
- おススメ度:★★★★☆
- 難易度:★★★★☆
- メリット:ネットワークはITやシステムに必ず絡んでくるので、持っているとあらゆる場面で活躍できる。
データベーススペシャリスト(レベル4)
こちらも言わずもがな、データベース管理者としてのスペシャリストですね。
SQLを書く必要はあまりやなく、関係スキーマ、概念データモデルなどのいかに正しく作れるかがポイントになります。
出題傾向は毎回似ているので、とくかく問題に慣れて、部分点を稼ぐ感じですね。
おススメ度:★★★☆☆
難易度:★★★★☆
メリット:データベース管理者は重宝される。システム開発時の開発規模や難易度をざっと把握できるようになる。
エンベデッドシステムスペシャリスト(レベル4)
IoTなど組込み系のシステムのエキスパートです。
他の情報処理試験とはちょっと毛色が違うので、システム開発系どっぷりの人は苦手意識があると思います。(私も試験勉強に苦労しました。。。)
ハードウェア系とソフトウェア系に分かれるので、おススメはソフトウェア系で攻める感じですね。
令和5年から午後Ⅱが論述式になっていて、より組み込み系(特にハードウェア)の知識が必要となっている。
- おススメ度:★★☆☆☆(※私の業務範囲と離れているので)
- 難易度:★★★★★(※ここだけは超個人的な評価です)
- メリット:組込み系のシステム開発には役立つ。これを取れば全区分制覇に大分近付く。
ITサービスマネージャ(レベル4)
システムの運用・保守を管理するための幅広い知識や能力、コミュニケーション力が必要となります。
システムの運用・保守の基本に忠実な問題が出るので、運用・保守業務に携わっている人は比較的簡単イメージですね。
経験が無い人でも、ITILのコンセプトを理解していると、問題は解きやすくなります。
- おススメ度:★★★★☆
- 難易度:★★★☆☆
- メリット:プロジェクトマネージャ試験と併せて取得していると、システム全般の能力の高さを証明できる。メジャーな感じは少ないが、持っていると重宝される。
システム監査技術者(レベル4)
システムの仕組みを理解しリスクを分析し、更に対策を立てるための能力が必要な資格です。
冷静にシステムや運用保守の仕組みを見て、何が悪くて、どこを改善すれば良いかを判断する必要があるので、弱点のパターンを知っていると良いですね。
プロジェクトマネージャやITサービスマネージャを経験していると有利なイメージですね。
- おススメ度:★★☆☆☆
- 難易度:★★★★☆
- メリット:システムの評価ができるので、監査系の業務でニーズがある。あらゆるシステムや運用の改善ができるようになる。
情報処理安全確保支援士(レベル4)
セキュリティ全般の知識が必要な資格です。
Firewallやルータなどのネットワーク知識やプロキシやDNSなどのサーバ知識も必要なので、学習範囲は幅広いです。
年2回の試験チャンスがあるので、応用情報技術者を取得後に取る人が多いようですね。
- おススメ度:★★★★★
- 難易度:★★★★☆
- メリット:セキュリティはこれからも増々重要になる領域なので、持っているとITの守備範囲がグッと広がる。
受験する順番の感想
私は当初、基本情報と応用情報取得して、最終的に高度試験のプロジェクトマネージャを取れれば良いぐらいで考えて、先ずは腕試しということでITパスポートを受けました。
それが正解で、やはりITパスポートが情報処理試験の傾向を掴むには丁度良かったです。
そして、応用情報技術者試験が、高度試験の文章問題のミニ版なので、高度試験を受ける前にはやはり応用情報をやっておくと良いと思います。
先ずはITパスポート、そして、基本情報で基礎力を高め、応用情報で高度試験への足掛かりとする!
続いて、9つの高度試験の受ける順番のポイントですが、やはり年2回のチャンスがある「情報処理安全確保支援士」は先に取っちゃうと良いでしょう。
その後は、自分の得意な分野を受けるのがおススメですが、できれば「論述系」、「記述系」の試験は固めて受けた方が、傾向が同じなので学習し易いかと思います。
高度試験は情報処理安全確保支援士を先に取って、残り8つは「論述系」、「記述系」に分けて固めて取得する
と言いながら、私は一番厳しいだろうなと思った「エンベデッドシステムスペシャリスト」を最後の方に受けました(笑)
以下に区分の分類を図にしてみました。
効率的な学習のための3つのポイント
半年に1回受けるとなると、それなりに短期間での学習が必要になりますので、やはり効率的に学習することが必要となります。
効率的に学習するためには以下の3つのポイントを押さえると良いです。
効率的な3つの学習ポイント
- 午後Ⅰと午後Ⅱの過去問をまずは解いてみて、自分の実力を見極め、それに合った学習スケジュールを立てる
- 過去問を解いて、参考書の解答例と照らし合わせて、自分の弱点を克服する
- ITツールを駆使することで、短時間&どこでも学習できる環境を作り上げる
③のITツールに関しては以下の記事で詳しく紹介してますので、併せて読んでみてください。
まとめ
今回は「IPAの情報処理試験を全区分制覇してみてのノウハウ」を解説してきました。
途中から連続試験&一発合格を目指そう!という気持ちになり、それが良い意味で試験勉強のモチベーションになった気がします。
全区分制覇してみましたが、結構ギリギリの点数もあったので、やはりもっと学習が必要だったかもしれません。
全区分制覇して、2周目(試験受け続ける)に突入する人もいますが、私はそこまではやれそうにないです(笑)
ただ、基本情報技術者試験は定期的に受けて、健康診断しても良いかなと思ってます。
この記事が皆さまの試験合格のための一助になれば幸いです。
以上です!